検証・那覇市新焼却炉建設計画


那覇市の焼却炉計画を見直しためのポイントを2点挙げてみた。
市長!もう一度よく考えた方がい〜んじゃないですか?

・新焼却炉を考えるポイント1

容器包装リサイクル法と焼却炉

 昨年の4月1日から容器包装リサイクル法という法律が施行されました。この法律の狙いは、容器包装廃棄物について、消費者、市町村、事業者がそれぞれの責任を分担するシステムになっています。これまでのように市町村だけが一般廃棄物に関する責任を負うのではなく、みんなが協力してごみを減らし、快適な生活環境を造ろうと言うものです。

 「びん」「缶」「ペットボトル」の容器包装ごみを、市町村は分別収集する責任、消費者はきちんと分別し回収に出す責任、メーカーや流通業者などの企業は集めた容器包装類を再商品化(リサイクル)する責任が定められました。

2000年からはこの容器包装リサイクル法に基づき、さらに「その他紙類」「その他プラスチック」が追加され「びん」「かん」と同様に再資源化が義務づけられます。

 自治体によって分別収集され保管された容器包装類は、事業者の再商品化義務によって資源化の道が開かれるのです。

那覇市の可燃ごみの組成を見ると、紙類とビニール類で68、8%を占めています。つまり可燃ごみの50%を容器包装リサイクル法に基づき、資源化していく事も夢ではないのです。現実的には、発生量の半分にとどまるとしても、その減量効果は可燃ごみの30%を減らす事ができるのです。

例えば那覇市全体の1日当たりの可燃ごみを234t(平成7年度)とすると、紙類ビニール類の割合が約60%を占めています。

その半分でも資源化すると

234t × 30% = 約70t    70tの資源化が達成できます。

この計算でいくと、250t/日の焼却炉でも十分間に合う事になります。

これに、事業系ごみの減量、そして生ごみの分別回収などが実施できれば、150t/日の炉も決して夢物語ではありません。

これらの可能性を考えると、那覇市が現在計画している468tの新焼却炉は、かなり大きな規模といえます。

確かに容器包装リサイクル法は市町村にとっては理想的な法律とはいえません。分別収集のコストなどを考えると、小さな市町村にとってはかなりの負担になります。

しかし、那覇市のような人口30万都市になってくると話は少し違ってきます。すでに、5種分別を実施しており、大型焼却炉や最終処分場の維持管理を考えた場合、容器包装リサイクル法を大いに活用した方が経済的にも環境に対しても、良い結果が生まれるはずです。

 那覇市は、家庭系ごみにおいて短期間に、高い資源化効果を達成した実績があり、「その他紙類」「その他プラスチック類」の分別回収を実施する事は大きな困難ではないはずです。また、紙類の出荷先についても、新聞紙などと違い、企業が再資源化の義務を追うことになるので、那覇市が資源化物の出荷先まで心配する必要はないのです。

むしろこの法律を活用して、企業の責任を明確にしていく積極的な戦略があってもいいのではないでしょうか?

 新焼却炉の計画に容器包装リサイクル法に対する対応が考慮されていない事を疑問に感じます。大型の炉を導入するために、敢えて目をつむったと勘ぐられても仕方ないのではないでしょうか。

 さらに、那覇市の総合計画においても今後大幅に人口が増える見通しはありません。このような見解から、那覇市の新焼却炉の計画は過剰見積とも言えるのではないでしょうか。


・新焼却炉を考えるポイント2

清掃行政はどこを向いているの?

 もう一つの問題点として、清掃行政におけるビジョンの無さです。那覇市は平成7年度『清掃行政』の〜清掃思想の普及と市民の協力〜において「ごみを単に焼却し、埋め立てるといった従来の処理方法を改め、ごみの持つ残存価値を最大限に引き出す事によってごみの適正処理を図ります。」と資源循環型社会の構築を高らかに宣言しています。

資源循環型社会を実現していくためには、リサイクルによるごみ減量を柱とした計画を立てるべきではないでしょうか?しかし現実には、減量化への施策努力を怠り、巨大な施設建設を急ぐ姿勢は、施設主義と批判されても仕方がありません。

課題を棚上げしたまま強大な焼却炉を建設する事は、那覇市が掲げた循環型社会への歩みを遅らせるものであり、時代の要請に背くものです。

このような、施設主義と清掃行政における施策の矛盾がリサイクルプラザの失敗をまねいた大きな原因ではないでしょうか。二度と同じ過ちを犯さないためにも、早急に事業系ごみの減量計画と容器リサイクル法による分別収集計画・保管計画を策定し、新清掃工場計画の見直しを提案します。

 そのことが、環境・財政の両面においてリスクを減らすことにつながるでしょう。

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