食品リサイクル先進モデル構築事業
平成14年度から「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)」が施工され、スーパーや食品工場から排出される食品廃棄物の発生抑制、再生利用及び減量化などへの取り組みが求められることになりました。
一方、財団法人食品産業センターでは、「食品リサイクル先進モデル地域・グループ構築事業」といって、 地域や企業グループの模範となり得るリサイクルシステムを企画し、提案をしていく、事業を行なっています。そこで、この事業に応募したところ、見事、受託をすることができました。
平成14年度は、モデル事業として豚を2頭肥育しながら「くいまーるプロジェクト」の第1章ともいうべき取り組みを行いました。
事前調査として、商店街、飲食店、スーパーの3種の事業所の排出状況およびヒアリングを行いました。商店街では、30の商店会の排出量を調査した結果,1店舗につき、1日平均5.8kgでした。飲食店でも小規模な店舗が多く、豚の飼料に適さない異物混入や種類ごとの分別をする人手や、保管するスペースがないなどの現状から、ターゲットをスーパーや比較的規模の大きな事業所に絞り込むことにしました。
16事業所で生ゴミ回収スタート
幸い、食品リサイクル法を意識している店舗が多く、生ごみの回収にも理解を示してくれました。結果、16事業所の参加を得て、生ごみの回収がスタートしました。
1日に回収する生ごみの量は約2トン。回収業者のトラックが日曜日を除く毎日、専用バケツを交換しながら生ごみを回収します。初期の頃は、ラップやしょう油などの小さな袋が混入されていることが多く、回収スタッフがひとつひとつ異物を取り除く作業が大変でした。異物が多く混入している事業所には通知を出したり、直接私たちが出向くなど改善に努めました。
現在、回収費用は1kgあたり15円です。ただ、今後の参加事業所の拡大に向けて、原価計算による適切な回収料金を設定した料金体系とサービスツールの検討を行いたいと考えています。
また、回収容器の検討や排出基準の作成、関係者への啓発事業も課題です。
回収した生ごみの一部は、異物が混入されていないかのチェックと水切り後、飼料化装置に投入され加熱かくはんし、豚に給与します。この飼料を栄養分析したところ、市販の配合飼料と比較して脂肪分が高いことが分かりました。
今後の課題として、技術の向上をはかりながら、飼料化装置の開発や研究などを行い、栄養面も考慮した安全で食いつきの良い飼料作りをめざしたいと考えています。
豚は試験的に2頭をオガコ養豚にで肥育しました。30kgの子豚を購入後4ヶ月肥育し、108kgで出荷しました。肉質の評価としては生肉の色などは配合飼料の豚と比較しても遜色はない、格付けは「並」でした。ただ、肉が硬いという特徴がみられ、次年度の課題としました。
残りの生ゴミは堆肥化、試食会も開催
残りの生ごみは堆肥化されます。水切り槽で保管後発酵槽に移されます。出来上がった堆肥は有機栽培をしている農家の協力を得て畑でサラダほうれん草を栽培しました。スーパーでお試し価格として販売したところ、売れ行き好調でした。また、排出事業所のひとつである関連スーパーの駐車場を借りて堆肥の無料配布も行いました。
今回の豚と野菜はこのプロジェクトに参加いただいた事業所の担当者、流通業者、飲食店関係者、行政職員、マスコミ、市民団体関係者、また、消費者への啓発活動と豚肉販売ルートを確保するための「くわっちー会員」(沖縄の方言でいただくの意)を募り、多くの方を試食会に招待し、みんなで多種類の料理を試食しました。
今後もこのような試食会や講演会などを行ないながら店頭での販売にむけた豚のブランド化を図っていきたいと考えています。
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